【完】さつきあめ〜2nd〜
「悪いことは言わないわ。有明さんのところに戻りなさいよ。あの優男ならあんたの全部を受け止めてくれるでしょ?」
「嫌です…」
「朝日はあなたじゃ受け止めきれないわ」
「ゆりさんにそんな事言われたくない!
あたしは宮沢さんも七色も自分の手で守るって決めたんだから!!」
「あなたには無理よ。あなたがそうやって頑張ろうとすればするほど朝日に迷惑がかかるんだから」
「何でですか?!ゆりさんの言ってる意味が全然わかんない!」
「いつか痛いほど思い知ることになるわよ。
その時あなたは必ず有明さんのところに行かなかった事を後悔する」
ゆりは真っ直ぐにわたしを見つめていた。
その言葉の本意をこの時のわたしは何ひとつ気づかずに、思い違いをしてしまっていた。
それでも、わたしはあの時した自分の選択を後悔した日はない。