【完】さつきあめ〜2nd〜
わたしの言葉に、やっぱりるなは目を丸くする。
そんなるなを見ていると、美優の事を思い出した。
美優もバイトだったけれど、いつだって仕事を真剣にしていた子だった。別の夢があって、それにひた向きに頑張っていて、その夢の為に働いてるキャバクラでも手を抜いたりする子じゃあなかった。
「さくらさん…あたし…ごめんなさい…」
わたしを見つめる、るなの大きな瞳が途端に潤んでいく。
「え?!」
「さくらさん、最近ネットのサイトで色々書かれてましたよね…
あれやったの実はあたしたちなんです…」
「サイト?」
インターネットサイト。
身に覚えのない悪口が飛び交っていた。
それが小さなストレスとして積みあがっていたのも事実だったし、何となく内部の誰かがやっている事だとは分かった。
詳しい真実は知らないけれど、断片的な何かを知ってる人の
「美月に頼まれて…って言っても言い訳になっちゃうんですけど…
やったのはあたしでもあるし、誰かのせいにはしたくないんですけど…愛ちゃんにもそれはよくないよって言われてて…」
「さくらさん違うんすよ!るなも本当にそんな気がなくて…
やった事は悪い事だと思うんすけど、それを止められなかったあたしにも責任があるし…
美月やるなを許してやって欲しいんすよ」
るなを庇うように愛が言う。
るなの目は真っ赤だった。わざわざ馬鹿正直に言う必要なんかないのに…。そう思うと目の前で泣き出しそうなるなを見て不憫に思えてきた。