【完】さつきあめ〜2nd〜

「正直に言ってくれてあたしは嬉しいよ。
別にインターネットのサイトなんか気にしてないし、美月ちゃんやるなちゃんを責めるつもりもないよ」

「ごめんなさい…さくらさん…」

わたしの言葉に、るなの大きな目からぼろぼろと涙がこぼれていく。
その姿を見て、こっちの方が困ってしまう。
きっと正直に話そうとするるなの方が怖かっただろう。

話を聞いていたレイは愛とるなの背中を叩いた。

「良かったね~!るな!さくらちゃんが優しい子で!これがあたしだったら謝っただけじゃすまなかったんだからね~!!」

レイはげらげら笑いながら言っていたけれど、このどことなく空気の悪い雰囲気を変えようとしてくれたのがすぐに分かって、どっちが優しいんだか、とレイを見て柔らかい気持ちになってしまう。

「一緒に働いて…さくらさんにはとてもよくしてもらっていたのに…こんな事をしてしまって本当に申し訳なく思ってます…
さくらさんはいつだって優しくて…あたしなんてただのアルバイトなのにいつだって真剣に考えてくれて…あたし…さくらさんみたいな人になりたいです…」

「えぇ?!」

「嘘じゃないですよ!綺麗なのに全然気取ってなくて…さくらさんはあたしの憧れです!
大人って感じで!」

「や、止めてよ…。それは照れる」

くすぐったくなるようなるなの言葉。それでもるなは「憧れです!」と繰り返すばかりだった。
余りにも真っ直ぐな瞳で、年下の女の子に憧れだと言われるのは初めての経験だった。今までキャバクラで働いてきて、色々な女の子を見てきて憧れる立場ではあれど、憧れられたのは初めてだ。
それは全然悪い気分ではなかった。

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