【完】さつきあめ〜2nd〜
「あたしもさくらさんは憧れっすよ~!!」

るなの肩を掴んで、愛も笑いながらそう言った。

「愛ちゃんまで~!!やめて~!!照れる~!憧れられるような存在じゃないよぉ~!!」

「さくらさんって本当にキャバ嬢ぽくもないし、いい意味で年上って感じもしないんすよね~!
あたしなんてこう見えて超びびりだから、最初双葉のキャスト全員怖かったし~!」

「あ~ら、愛もるなもさくらには憧れてレイには憧れないっての~?」

「レイさんは超ぶりっこすっからね」

「別にレイぶりっこじゃないもん~!!」

皆で顔を見合わせて大笑いした。
久しぶりに和やかな更衣室。
でも皆で笑っていたって、美月を心配してるのに変わりはない。
それに美月自身が思っている以上に、るなや愛は美月を思いやっている。こんなに優しい仲間に囲まれて、どうして美月はああまで自分の心を閉ざすのだろう。どうして周りは全員敵だと思ってしまうのだろう。

わたしには分からない。
美月の奥に湧き上がる自分が育ってきた環境への劣等感。
彼女の中に潜む闇の部分。それは余りに深すぎて、誰にも癒せないのかもしれない。
いや、同じ傷を持つ朝日ならば。そんな事、考えたくないのに…。

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