【完】さつきあめ〜2nd〜
「えーこんな可愛いのにひとりで来てんの?
俺と一緒に飲もうよ」
「や、ちょっと用事があって来てるので遠慮します…」
「いいじゃんいいじゃん!!
てか本当に綺麗な顔してんねー!おねぇさんどっかで見た事あるような気がするー!
名前は?」
「いやいや、本当に困るんで…」
こんな場所で、ナンパをされに来たわけではない。
困り果てて席を立とうとすると、その男の仲間らしき男がやってきた。
ちゃらついていて、いかにも遊んでいそうな風貌だった。
「なーに、ナンパしてんだよ」
「超可愛い女の子見つけちゃったからさー」
「お前さー…女と来てるのによくやるよ」
連れの男と目が合うと、その男も覗き込むようにまじまじとわたしの顔を見る。
「双葉のさくらちゃんじゃん!!」
名前を呼ばれて、再び男の顔を見る。
双葉のさくら。わたしの事を知ってるようだけど、いくら記憶をたどっても、目の前の男に心当たりはなかった。
「え?知り合い?」
「知り合いじゃないけどさー。キャバの女でしょ?
双葉の美月って知ってる?美月と同じ店の子だよね。ほーらでかでかとした看板でセンターで写ってるじゃん!」