【完】さつきあめ〜2nd〜

「え?!有名なキャバ嬢なの?!やっぱり綺麗だと思ったんだよね~!」

ナンパをしてきた男の連れはわたしが双葉のさくらである事を知っていて、更に美月の事も知ってるようだ。

「美月ちゃんの知り合い?!」

「あぁ。まぁ~…知り合いっちゃー知り合いだけど」

「美月ちゃん今どこにいるか知らない?!」

「えー?美月?う~ん今日は見かけてねぇけど。何日前店に来てたと思うよ」

「美月ちゃんと連絡取れないかな?」

「電話しても出ねぇと思うけど。
ちょっと待ってな?」

連れの男は携帯を片手に電話を掛け始めた。
ナンパ男の連れだけれど、こちらは親切な人のようだ。
電話を掛けている間、ナンパしてきた男は今度双葉に行くよーと話を掛けてきたけれど、無視を決め込んだ。
ずっと無視をしていたら、いきなり肩を掴んできたので、それを手で払いのけた。

「なんだよ…」

余りに勢いよく払いのけたせいで、さっきまでへらへらと笑っていた男の表情が曇る。
でも嫌なんだ。男に軽々しく触られたくない。

「キャバ嬢やってるくせに何お高く止まってんだよ!」

殴られる。そう思って目を閉じた瞬間
低い男の声が響いた。

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