【完】さつきあめ〜2nd〜
「何やってんだ、てめぇ」
その聞きなれた声で目を開いたら、目の前に、わたしの手を掴もうとした男の手を掴む、朝日の姿があった。
「あ?なんだ、お前」
「誰の女に手ぇ出してるって聞いてんだ」
朝日はわたしの前に立って、目の前の男を睨んだ。 その時だった
「何やってんだよ!!お前!!宮沢さんお久しぶりっす!
すいません。こいつには俺から言い聞かせておきますんで」
「あぁ、誰だ?お前」
「RUEグループの拓也って言います!
ほんとすいません!
ほら、お前も謝れよ!七色グループのオーナーの宮沢さんだ」
美月に電話を掛けてくれていたのはRUEグループの拓也という男らしく、朝日を見てすぐに頭を下げてきた。
隣にいた男もまずいと思ったのか、頭を下げて「すいません」と謝った。
「わかったらいいんだよ。散れ」
朝日に頭を下げる前に、拓也という男はわたしに近づいて「ごめん、美月電話でなかったわ」と申し訳なさそうに謝って、すぐにその場を去っていった。
2人が去った後すぐに朝日はわたしの方へ振り返って、明らかに不機嫌そうな顔を向けた。
久しぶりに会って、どんな顔をしていいか分からないわたしは、朝日と目線も合わせられずに、ただ忙しなく動く自分の心臓の音を聞いていた。
「こんなところで何をやってる?」
「何って…ちょっと人を探してて…」
「はぁ?!ここがどういうところか分かってんのか?!」
「そんなの知らないよ!!ただのクラブじゃん!!宮沢さんだっているじゃん!!」