【完】さつきあめ〜2nd〜
「あれはRUEグループのホストだろ!あの拓也って奴ぁ顔見た事あるから幹部かなんかだろうけど
お前に手ぇ出してた奴なんか末端のホストだろが!!
こんなところにひとりで来て、ナンパされてやられてぇのかお前は!!」
そんなの知らない。
RUEグループだって、ホストだって知らない。
なんでわたしはこの人にここまで怒られなきゃいけないのだろうか。
「もういいから、とりあえずこっちに来い!」
「ちょっと!!」
朝日に強引に腕を引っ張られて、連れていかれる。
わたしの手を握った、懐かしい体温。怒られているはずなのに、懐かしくなって涙がこみあげてきそうになる。
ずっとずっとどんな時もこの体温に触れていたかった。
朝日が連れてきたのは個室で、騒がしいホールとは違って落ち着いた雰囲気の場所だった。
このお店にこんなところがあったとは……。
中には何人かのキャバ嬢らしき女の子たちがいて、朝日は「今日は帰ってくれな」と女の子たちに言っていた。
その中に何人か見たことのある顔がいた。
雑誌でしか見たことがないけれど、きっとONEのキャストだったと思う。
朝日の座るソファーの目の前に座っても、朝日はイライラしっぱなしだった。
大きく開いた片方の足は貧乏ゆすりが止まらなかったし、煙草に火をつけて思いっきり煙を吐き出した。