【完】さつきあめ〜2nd〜
「探してるって誰をだ?」
「……双葉の美月ちゃん……」
わたしの言葉に朝日は一瞬驚いた顔をして、灰皿に煙草を押し付けた。
「知ってるの…?」
「…双葉に出勤してねぇんだろ」
「何で知ってるの…?一緒にいるの?」
その言葉にまた眉をしかめた。
「…いねぇよ」
「じゃあ何で双葉に出勤してないって知ってるのよ!」
バンっとテーブルをグラスで叩く大きな音が室内に響いて、思わず肩を震え上がらせた。
朝日の手にしていたグラス、氷の入っていたグラスが揺れて、眉間に皺を寄せる朝日の表情は明らかに怒っていた。
身勝手。自分の怒りに任せる暴君。そんなところが大嫌い…だったはずなのに、どうしてこんなに悲しい気持ちになるのだろう。
「ごちゃごちゃうるせぇ…」
うるさいって何よ。
何でわたし、こんな奴の事を…ここまでされて好きなんだろう。
「何でそんなに怒るのよ!」
「てめぇが一緒にいるだがごちゃごちゃうるせぇからだろ!」
「だってどうせ一緒にいるんでしょ?!美月ちゃんの居場所知ってるんでしょ?!」