【完】さつきあめ〜2nd〜
「一条さん……」
「拓也でいいよ!
雅が来たいって言ったのもあるんだけど、俺ももう一度さくらちゃんに会いたかったりして」
「はぁ……」
さすがホストと言ったところか。
ラウンジで見た時には暗くて気づかなかったけれど
雅も拓也も明るい場所で、スーツを着ているとそれなりのかっこいい男に見えた。
代表補佐という肩書もある。それなりに売れていて、女の扱いにも長けているのであろう。
「雅、さくらちゃんナンパしてたのに、サイト見て、レイちゃんがいいって。失礼な奴だよな」
拓也の指さした先で、レイと雅が楽しそうに顔を見合わせて笑っている。
「いやいや、好みってもんがありますからね!それにレイさん実際可愛いし」
「俺は全然さくらちゃんのがいいけど」
ホストがキャバクラに来るのはよくある話だ。
キャバクラに来て、特定の誰かを指名して、それなりのお金を使って、自分たちのお店に呼んで、使った以上のお金を使わせる。
けれど生憎ホストに興味はないし、歯が浮くような色恋の言葉にも流されやしない。
「あら、そうですか。じゃあお店に通ってくださいよ。
あたしはホストにはお金を使いませんから、営業するだけ無駄だと思いますけど」