【完】さつきあめ〜2nd〜
にっこりと笑顔を作り、空になった拓也のグラスにシャンパンを注ぐ。
あはは、と大きな声を立てて笑って「さすがは宮沢さんの女だね」と意地悪そうに微笑んだ。
「別に女とか彼女とかそういう関係じゃないです…あたしたち」
「いやいや血相変えて怒ってたでしょ、あの人。
あの人自分の女には独占欲丸出しにする人だから分かりやすいし、昔ゆりさんと付き合ってた時、実はゆりさん俺の指名客だったんだけど、お店まで来て揉めてたなぁ。
知ってるよね?ゆりさん。ONEの」
ゆりと朝日の過去の話なんて聞きたくない。
「ええ、知ってますけど」
「あのふたり、昔付き合ってたんだ~」
「みたいですね」
出来るだけ感情を出さないように、拓也の言葉に相槌を打つ。
誰かの前で、朝日の事で感情をもう出したくない。
「なんかさくらちゃんって案外掴みどころないね」
「そうですか?」
「ますます好きなタイプだわー!」
「わぁー嬉しいーじゃあお店に通ってくださいねー」
「全然心にない言葉だよね。
ま、いっか。それよりさくらちゃんが知りたがってた美月の行方少しだけ分かったから
今日はそれを伝えにきたのもあったんだ」