【完】さつきあめ〜2nd〜
「愛って…涼の口から出るとか…ちょっとひくわ…それに意味わかんないしね」
「綾乃も言ってた。
さくらは人に愛される才能があるタイプだって」
「綾乃ちゃんが?」
「おお。自分はそういうタイプじゃねぇから羨ましいともね」
綾乃がそんな事を言っていたなんて。
でもそれを言ってしまえば、綾乃だって光と朝日から特別に愛されてる気がする。いつかレイも言ってた。レイは、恋人とか彼女とかそういったいつ崩れるかも分からない脆い絆じゃなくて、綾乃のようにどこに行っても光から無償の愛を得られる。そんな存在になりたかったんじゃないかなって今にして思う。
「でも…綾乃ちゃんだって光たちから愛されてるじゃん」
「それはまた違うだろ。そうは言ってもあいつも結構複雑な家庭で育ってきてるから、俺からしたら愛され下手だと思うけどね。人からの愛情を受け取るのが不器用なんだよ」
そうやって冷静に綾乃を分析してる涼を見て、思わず笑みがこみあげる。
こうやって理解のある人が近くにいてくれるって、やっぱり幸せな事だよ。
「綾乃ちゃんに涼がいてくれて良かった。涼がいてくれて救われてるよ、きっと」
「まぁそれは知らねーけど、喧嘩もしちゃってますし?
ま、とにかくお前が人から愛されるタイプだっていうのは俺もよーく分かるよ。
お前は真っ直ぐだしさ、心に澱みがない人間でさ、でも南も他の奴らも結局はそうやって人に愛されて守られてるのが面白くないからお前に攻撃するんだと思う。
愛された経験のある人間は素直に人の愛を受け取れるけど、そうじゃねぇ奴は素直にはそうそう受け取れねぇもんだよ。
一応元カノだから、南が本当に悪い奴じゃないって俺は知ってる」