【完】さつきあめ〜2nd〜

変な違和感があった。
久しぶりに出勤してきた美月は、どこか毒が抜けたような感じで
あれだけ売り上げに拘ってきたのに、指名にもあまり拘らなくなり、あんなに嫌いだったヘルプにも笑顔でつく日が増えた。
売り上げだって気にしなくなって、がくんと落ちたのに焦りもせずに大人しくなった。その事についてわたしは変な違和感を覚えていたけれど、美月は久しぶりに出勤してきて以来特にわたしに絡んでくる事もなかったし、会ったら会ったでお疲れ様ですやおはようございますと挨拶さえしてきてしまう始末。

一度だけ佐竹がお店のビルの前でウロウロしていたのを見つけて、黒服に何かを言われて肩を落として帰っていった。

美月が出勤してきて2日後、わたしとレイはとあるビルの前に来ていた。

「らっしゃいませー!!」

派手でゴージャスな入り口には電光パネルがあって
その写真の中で派手な髪色をしたスーツを着た男たちが我こそはと主張しまくっていた。
NO1が中央に王様のように飾られていて、まるで競争心を煽るような造りになっていた。

爆音の流れる店内で、その爆音より威勢の良い男たちの声が響く。
…やっぱり好きになれない。こういった雰囲気は。

同業者と見られる派手ないで立ちをしたキャバ嬢やら、キャバ嬢より少し清楚めなのは風俗嬢だろうか。夜の匂いが隠し切れない人たちの中にまばらにごくごく普通っぽい昼職の女の子たちもいるだろう。
ホストクラブの客層は、思っているより若めな人たちが多い。

何店舗もホストクラブが連なるこの街で、RUEグループはかなり大きい方で
その中でもSKYは選りすぐりの人気店なのだそう。

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