【完】さつきあめ〜2nd〜

お酒を飲んで気分の良くなったわたしは携帯の画面を拓也に向けて「どっちがいい?」と聞いた。

「わ!何これ、可愛い!!」

実はこの間トリガーから帰った後涼から連絡が来て
綾乃と話して、朝日の誕生日パーティーをサプライズをしようという話になったのだ。
勿論朝日には内緒で、涼がわたしに気を使ってくれたに違いない。
その話に一瞬躊躇ったけれど、やっぱり朝日の誕生日は祝いたいし、去年のように朝日の喜ぶ顔が見たいと思った。
去年同様オーダーの立体的なバースデーケーキを用意する事になった。

くだらない話だけど、子供のようにウキウキして、猫にするかウサギにするか迷っていたところだ。

「これって誕生日ケーキ?」

「そうなのっ!どっちが可愛いと思う?」

「男の子にあげるなら猫で、女の子ならウサギかな?
つぅかどっちも可愛いけど」

「じゃあ猫にしようっと!!」

柄にもなく浮足立ってるわたしを見て、拓也は笑いながら言った。

「このケーキをもらう’男の’子は幸せ者だな」

また、去年みたいに笑ってくれるだろうか。
今年は綾乃もいる。家族に祝ってもらった事がないと言っていた朝日が、幸せそうに笑う顔を想像するだけで、こっちまで幸せな気持ちになれる気がするんだ。

思っていたよりホストクラブは楽しいし、拓也も案外いいやつですっかりと気を許したころ
わたしはSKYで、思わぬ人物に遭遇する事になる。

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