【完】さつきあめ〜2nd〜

南の気持ちが痛かった。
あんなに大好きだった光と、一緒にいれたらどんなに幸せだろう。
昔のわたしの望むものは、いつだって光と共にいる事だけだったのに。
けれどわたしは違う愛を知ってしまった。一緒にいるだけでこんなに息苦しいのに、幸せになる未来なんて見えないのに
それでも、どうしても譲れない想いがあった。

南はもうそれ以上は何も言わなかった。
それどころか、こんな話をしてごめんと何度も謝ってきた。
出会った頃はこんな人だとは思わなかった。けれど、悪い人ではない。涼が言っていた言葉の意味が分かる。
一度は涼に愛された女性だ。自分では到底思いつかないような、深い愛を持っている人。それが少しだけ羨ましかった。

その後1セットだけいて、わたしはお店を出ると言った。
レイは雅と盛り上がっていたからてっきり残ると思っていたが、わたしが帰ると言ったら一緒に帰ると言い出した。
雅は引き留めたがそれを聞かずに、拓也は送りの時にお礼を言ってきて、だいじょうぶ?とだけ聞いてきた。
拓也の言葉に、笑って応えた。気が向いたらまた来ると、そうしたらホストなんて高いんだから来なくていいよ。とホストらしからぬ事を言って、笑っていた。

「ふぅ~!飲んだ飲んだ~!やっぱりSKY楽しい~!!!」

深夜過ぎ
街も人はまばら
わたしたちのように仕事帰りのキャバ嬢が何人か思い思いのビルに吸い込まれていき
それを見つめながら、レイはう~んと大きく伸びをした。

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