【完】さつきあめ〜2nd〜
朝日の家に行く前に、綾乃と待ち合わせをした。
ふたりで出かけるのは久しぶりだった。
お昼から待ち合わせをして、ふたりで朝日の誕生日プレゼントを選びにきた。
けれど昨年の涼と選んだのと同様、中々プレゼントは決まらなかった。何店舗かの、朝日が好んで身に着けている高級ブランド店を回って見たけれど、いまいちピントくるものがなかった。
「ねぇ、さくらこれなんてどう?」
「だめだよ~!あの人こんなデザインの服とか沢山持ってるもん!」
「じゃあこっちのアクセサリーは?」
「無理無理。アクセサリーには強い拘りがあるって綾乃ちゃんも知ってるでしょ?」
「はぁ……」
綾乃が小さなため息を吐いて、横目でこちらを見つめてきた。
…綾乃の言いたい事は分かる。これは昨年の涼とわたしのやり取りでもあったからだ。
「ごめん…」
「…別に良いけど。拘りがあるのはさくらの方じゃない…
大体あの人だったら、さくらから貰う物だったら何でも喜ぶと思うけど…」
「どうだか…。何でも持ってる人へのプレゼントって難しいよぉ…」
「何でも、持ってる人ねぇ」
「結局去年も涼と選びに行って決めれなくて…涼に呆れられて」
「涼が言ってた…。
だからさくらとプレゼント選びをしたくないからって今日は後から来るって言ってたもの」
「ちっ…。だろうとは思ったけどさ…」