【完】さつきあめ〜2nd〜
結局去年同様プレゼントは見つからないと思ったけれど
財布なんていいんじゃない?とある店舗で綾乃が足を止めた。
朝日がよく利用する一流ブランドではなかったけれど、シックだけれどセンスの良い品ぞろいがしてあるお店だった。
今年の誕生日に、レイから財布をプレゼントで貰った事を思い出した。
「ナイス!綾乃ちゃん!てかここのブランド…光っぽいけどね」
「そぉ?光って案外遊び心がないから無難なブランドばっかり好きなのよね。
朝日もどうかと思うけど、光もそんなにセンスなかったりするけど」
「そんな事ないよ!光はかっこいいもん!」
思わずそんな言葉が出てしまう自分に驚く。
そんなわたしを、綾乃は優しい瞳で見つめる。
「さくらは光の事をかいかぶりすぎなの」
「それ、光にも同じ事言われた…」
「そうなるのも、光にも原因があるとは思うけどね。
あの人ってあたしに対してもそうだけど、小さな頃から完璧であろうとしてた人なのよね。小さい時は優しいお兄ちゃんだなぁって思ってたけど…大人になってから光の事はよく分からなくなっちゃった。
本当はそうじゃなくっても自分を抑圧して生きるのが染みついちゃってるのよね、きっと」
「どうして光はそうなっちゃったの?」
「さぁ、うち前にも言った通り複雑だから、そういう環境で育った人間って結局どこかそういう部分あるんじゃないの?
あたしもひねくれてるし、朝日だってあの通りだから。
まぁそんな話どうでもいいね、さっさとプレゼント選びましょ!
もう早く選んで疲れたから休憩とりたいわ!」
「そだね!選ぼう!」