【完】さつきあめ〜2nd〜
「は????」
家のドアを開けた朝日は口を開けたまま、絶句した。
「おう、おっさんハピバ」
「聞いてねぇぞ?」
わたしと綾乃を見回して、最後に涼をぎろりと睨みつける。
よっぽど油断していたのか、朝日はボロボロのジャージとティシャツを着ていた。
一緒に暮らしていた時期もあるというのに、こんな気の緩んだ朝日を見るのは初めてで、光も人前では完璧主義な人だったけれど、この人も相当だと思う。
「やだ、朝日、何その恰好……」
「綾、何でお前までここにいる…」
「別に…兄の誕生日を祝おうとするの、妹なら普通だと思うけど」
「あ、おっさん。この人俺の彼女だから」
「はぁ?!!?!!!!??!!」
今日1番の絶叫だった。
綾乃はするりとすり抜けて、家の中へ入っていった。その後を続いて、涼もまるで自分ちといった感じで家の中に入っていく。
「おい、涼、綾!俺は何も聞いてねぇぞ!!!!!」
そうは言ってももうふたりは家の中へ入って行ってしまった。
そして朝日はわたしと目が合うと、バツの悪そうな顔で、目を逸らした。
「あの…あの…今日は誕生日をお祝いしにきたわけでして…」
しどろもどろになって変な敬語になる。
朝日は顔に青筋を立てて、明らかに怒っている。