【完】さつきあめ〜2nd〜

朝日の誕生日を祝えて、その上、昔のように仲良く時間を過ごせている。
あの頃は当たり前にあった普通の事が、失ったいまこんな幸福だった事だなんて。

「やっぱり今年もこれを切って食うのは勿体ねぇなぁ」

「いや、でも生物ですし、食べなきゃただ腐るだけですよ」

「うっせーなー、現実的な事を言うんじゃねぇよ」

ふと視線を移すと、わたしと朝日が喋っている姿を見て、涼は穏やかに微笑んでいた。
この企画を立ててくれたのも、涼。立ち止まっているわたしの背中を押してくれたのも、やっぱり涼だった。
わたしの視線に気づくと涼はすぐに視線を逸らし、綾乃に向かって何か話を掛けていた。その隣で、綾乃が幸せそうに微笑んでいた。

やっぱり涼に想われる女の子は幸せ者だ。

「こらー!そこ、いちゃつくな!!
俺は認めちゃいねぇぞ!ホストと付き合ってるなんてな!」

「宮沢さん…まだ言う…」

どっちが子供か本当に分からないな。

「うるせーよ、おっさん。
それに俺、トリガーは年内に辞めるつもりだし、元々ホストじゃねぇし」

「え?!涼、トリガー辞めちゃうの?」

綾乃はどうやら知っていたようで、涼の横で微笑んでた。

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