【完】さつきあめ〜2nd〜

「おお。何か元カノの件で意地になって始めたような仕事だったけど、それなりに楽しかったし、やりがいもあったけど
やっぱり保障ってもんがない世界だからなぁー…。
俺も20歳過ぎるし、普通に昼の仕事に戻ろうと思ってるよ」

「えぇー!!寂しくなっちゃうなぁ……。
まぁそうだよね、いずれ綾乃ちゃんと結婚とか考えるとね…」

「なっ!!結婚だと?!許さん!!」

わたしの言葉に、朝日の顔が歪んだ。

「ちょっと!!結婚なんて考えてないっての!!
ふたりして勝手に話を飛躍させるのはやめて!!」

「へぇ。俺は結婚したいと思ってるけど?まぁ、いずれは?」

綾乃は激しく否定したけど、涼はあっけらかんと結婚と言葉に出した。
その言葉に綾乃は照れまくっていて、朝日は別の意味で顔を真っ赤にした。怒りで、朝日は耳まで真っ赤にしていた。
ここまでしっかりしていて、綾乃の事も未来の事も考えている涼に返す言葉もないのだろう。
何も言い返せなくなった朝日は、無言で涼のグラスにお酒を注ぐ。

持ってきたシャンパンが数本空いて、皆良い気分で酔い始めて
綾乃は珍しく誰よりもお酒に酔っていた。涼の結婚という言葉が嬉しかったのか、それとも涼といる時は気が緩んでしまうのか、すっかり酔っぱらってしまった綾乃は涼の隣で目を瞑っていた。
そして涼も珍しく、そんな綾乃の横で眠っていた。
ふたり並んでソファーで眠る姿を見て、改めてお似合いだなぁと思った。

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