【完】さつきあめ〜2nd〜
「いつか宮沢さん言ってましたよね。
あたしはたとえ光が社長でなくなったって、お金がなくなったって光を好きなままなんだろうなって。
光になりたいって。
あたしよく考えたんです。あたしはやっぱりその人に地位があるからとか、お金があるからとかで人を好きにならないって。だからあの時のあなたが言っていた通りの人なんだと、あたしは思います。
それで………
あたしはたぶん…今度あなたが出すお店がたとえ成功しなくても
もしもいつかあなたがオーナーという地位や、お金を失ったとしても
あたしは………あなたと一緒にいたいと…思うと思います…」
なんて回りくどい。
けれど、朝日を好きだと伝えるには十分な言葉だったと思う。
「お前……それって……」
「あたし、宮沢さんが好きです」
この言葉を伝えるだけにどれだけ遠回りをしていたのだろう。
好きです、と言った瞬間、目を伏せてしまう。朝日がどんな顔をしているか、見るのが怖いんだ。
視線が自分の握りしめた両手を左右に動く。指先が震えている事が自分でも分かる。