【完】さつきあめ〜2nd〜
「…んだよ…うっせーな…」

呑気にあくびをしながら起き上がった朝日は、悪びれもせずにわたしの背中に子供のように抱き着いてきた。

「やめてください!セクハラですよ?!」

「はぁ?!セクハラ?!
昨日セクハラ以上の事をしておいてそりゃーねぇだろ!!」

バンっと大きな音が響いて、綾乃が力いっぱい朝日の頭を殴る。
「いてぇー!!!」朝から朝日の大きな声がリビングに響く。

「あんたって男は!!」

「なんだ、綾。何をそんなに怒ってるんだよ」

「そりゃーおっさん、綾乃も怒りたくもなるっての。
俺と綾乃を同じ部屋で寝せてくれないしさぁ」

「はぁ?!同じ部屋になんか寝せるわけねぇだろ!!お前絶対綾に変な事するだろ!!」

「おっさん心配なく~!
昨日おっさんと綾乃がしてるような事なら全然とっくにしてますから~!」

「てめぇ!!嫁入り前の娘に手を出すとは!やっぱりお前らの交際は認められねぇ!!!」

左手で朝日を、右手で涼を、綾乃は思いっきり殴った。

「ほんっと馬鹿ばっかり!!」

気まずくて、何も言えなくなったわたしは黙ったまんま。
涼はキッチンに消えていって何かを作っている。朝日は起き上がったと思ったら勝手にシャワーを浴びにいってしまう。
「さくらも一緒に浴びるか?」とニヤついた顔で言ってきたけど、綾乃はそれを睨んで制止した。
残された綾乃とふたり。気まずい時間が流れる。

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