【完】さつきあめ〜2nd〜
笑いあっていても、朝日が疲れているのに気づいていた。
それに最近あまり食欲もないようで、それが少しだけ心配だった。本人は忙しいだけだ、と言っていたけれど。
キッチンに立ってオムライスをふたりぶん作って、いつも通り向き合って食べる。これが夜の仕事をしている私たちの1日の終わりの食事だ。
何回も作ってて、何ら変哲のないオムライスなのに、朝日は何度だって美味しい美味しいと無邪気な笑顔を見せる。

「今日ね、沢村さんに」

「沢村?あいつに何かされたか?あいつはむっつりだからな…」

「止めなよ…。沢村さんはそういう人じゃないじゃん。
沢村さんにさくらさんが双葉にいてくれて良かったって言われた。女の子の事も1番に考えてくれてるし、本当にいい人だよね」

「ふん。まぁあの人は異常に人間が出来てる人だからな。
その沢村が、あの由真を好きなんていまいち理解に苦しむけどな」

「知ってるの?」

「そりゃー知ってるさ。あれだけ光と仲が良かったのに双葉に残った理由なんて由真しか思いつかねぇ…」

「確かに沢村さんは由真さんの事を好きだけど…七色グループに残ったのはそれだけじゃないと思うよ」

わたしの言葉に、変な顔をして朝日は眉をしかめた。

「もちろん由真さんが大前提だろうけど…
きっと責任感の強い人なんだと思う。だから信じられるし、女の子たちからの信頼も厚いんだと思うけど
双葉の女の子たちの事とかも考えて、残ってくれたんだと思うよ。それになんだかんだ朝日の事も尊敬してると思うし」

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