【完】さつきあめ〜2nd〜
「ONEに、菫さんが移籍するんだってね」
「あぁ。別に隠したくもねぇから言うけど俺がそう頼んだんだけど。
菫には一時的なお願いで働いてもらっていたけど、やっぱりあいつの力はすげぇし
ONEのナンバー2が少し頼りなくてね」
「雪菜さんって子?」
「よく知ってるな」
知ってないわけがない。
ONEは飛びぬけてゆりが目立っていたお店だった。
けれども売り上げ表にはいつも高い順位で長くお店に務めている雪菜という女の人がいた。
ONEでは必ず、ゆりの次にいた女の子。
宣材写真で顔を見た時はびっくりした。
ゆりとは全く正反対で、ふんわりとした印象を持つ清潔感のある感じの女の子だった。
「雪菜はお前と気が合うんじゃねぇかな」
そう言って朝日は首をひねる。
「なんつーか、優しい感じの奴なんだよ。
結構長く勤めてるけど、人間性つーのが全然変わらないんだよな。
ゆりが攻めの人間なら、雪菜は守りって感じで。客からも癒されるってよく言われるし、年配の客に好かれがちだな。
ONEでゆりがいなきゃ全然他店でもナンバー1になる器を持ってる奴だよ」
「写真でしか見た事がないけど……優しそうな人だよね…」