【完】さつきあめ〜2nd〜

その日の営業を終えて更衣室に行くとそこには美月の姿はなくて
愛とるながいたから美月の事を聞いたら「早退した」と言った。
その時はそんなに気にも留めていなかった。
正直その時は忙しくて、誰かの事を考えるというよりは自分でいっぱいいっぱいだった。
ゆりを意識して、仕事をしていた。

「さくらちゃん~!今日飲みに行かない~?」

「行く行く~!!」

「え?!珍しい!!いいの?宮沢さんは?」

「朝日も今日仕事で遅くなるって連絡入ってたから」

「あ~なるほどね~!もぉ最近さくらちゃんずっと宮沢さんの為にアフター以外はすぐ帰ってたから、レイ寂しかったんだよー」

「うう…ごめんなさい!」

「いいよ!そりゃー彼氏出来立てなんだから、それ優先するっしょ~!!
じゃあトリガーに行って涼ちんに会いに行こうよ!
実は綾乃ちゃんと飲みに行く約束してたんだ~!シーズンズのはるなちゃんも来るみたいだよ!!」

「ほんと?!綾乃ちゃんとはるなちゃんとも全然飲みに行けなかったから嬉しい~!!!
涼に会うのも久しぶりだ~!」

「涼ちんや綾乃ちゃんも最近のさくらは宮沢さんばっかりで付き合い悪いって愚痴ってたよ~!」

「う……本当にごめんなさい」

ふふ、とレイが笑ってわたしの手を引く。
レイや涼たちの言う通り、最近のわたしは仕事と朝日の事ばかりで、あまり誰かと飲みに行く事もなかった。
嫉妬深い朝日の事もあったし、何よりもわたしが朝日の側にいつだっていたかった。
だからこうやって誰かと飲みに行くのも久しぶりで嬉しかった。けれどその考えもトリガーに着いてすぐに後悔に変わる事になる。

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