【完】さつきあめ〜2nd〜

「タイミング悪ぃなぁ…。
南が光?を連れてきたの初めてなんだぜ?
俺も何となく居心地悪かったんだけど。ちょうどいま南がさくらを呼べ呼べうるさかったところだけど、お前もタイミング悪い時にくんなよ」

「…そんなの知らないよ…」

帰ろうかな、そう言いかけた時南はわたしの方へきて、無理やり腕を引っ張っていった。
そして何故か光の隣に座らされた。
ただでさえ気まずい状況なのに…
レイもすぐに気づいて、わたしの顔色を伺ってきた。
きっと久しぶりに光に会えて嬉しいはずなのに、気を使わせてしまって申し訳ない気持ちになる。

「双葉のレイちゃんだっけ?」

「レイで~す。EDENの南さんだよね~?」

「そう、EDENの南です。ちょうど良かった、あれだし、ボックス席に移動してふたりで話さない?」

「え?え?え?」

レイはわたしの顔を見たけど、南は超強引なようで無理やりレイの腕を引っ張っていった。
…とっても気まずいし、どうしようかと思った。
光の隣に取り合えず座らせて、ロボットのように固まってしまったわたしに、光は顔を覗き込んで、昔と何ひとつ変わらない笑顔で大笑いした。

「なぁ~に固まってんだよ!
さくら!久しぶりだな!!」

「…うん、久しぶりだね」

少し見ない間に、光は痩せてしまったと思った。
元気そうに笑っているけど、あの頃大好きだった笑顔のままだけど、こうやって光に会ってしまえば、光の事がどうしても気になるし、心配もしてしまうんだよ。
だから会いたくなかったのに……。

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