【完】さつきあめ〜2nd〜
まるで時が止まったみたい。
いつだって光といる時間は、時が止まって欲しいと思っていたのに
こんなに時計の針が進んでいかない事が苦しいなんて。

無造作に置いていた携帯がテーブルの上で鳴り響く。
着信画面に、朝日の名前が映し出される。けれど、ここから動けない。

「あんまり飲みすぎたら、宮沢さんが心配しちゃうよ」

「うん…そだね。あたし帰るよ。
綾乃ちゃんとはるなちゃんが来るって言ってたから、よろしく伝えといて」

「おお!綾乃とはるなに会うのも久しぶりだな!伝えておくよ!
気をつけて帰るんだよ」

曖昧な笑顔を浮かべて、涼に帰るのを伝えて席から立つ。
帰り際、もう一度光はわたしを呼び止めた。

「いつでも連絡しておいで」

そう優しく言い残して、その言葉に返事は出来なかった。
許されないだろう。この先、光と連絡を取る事も、頼る事も
何があっても光だけは、あの人が許さないだろう。
わたしが少しでも光を頼りにする日が来るのならば、朝日はきっともう、わたしを信じようとはしないだろう。

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