【完】さつきあめ〜2nd〜

「だよね…。
仕事だったよね?!
本当にごめん!やっぱりあたしって自分の事しか考えてないよ~…
光の優しさに甘えて、ほんっと何で考えてあげられないんだろう…相手の事情とか…」

はぁ~っとため息をついて頭を抱える。
本当にわたしって…。
でもそんな姿を見ても、光は優しく笑ってくれた。

「それでも俺は嬉しかったよ。
夕陽が辛い時に何番目でもいいから俺の顔が浮かんでくれたって事実だけで嬉しかった」

そうやって光は真っ直ぐな瞳を向ける。
何番目とかじゃないよ。辛くて悲しくてどうしようもない時、1番に光の事を思い出していたんだよ。そんな失礼な事、絶対に口に出して言えなかったけど。

光はわたしの体を離して「どこかに出かけようか?」と言った。

「でも……光今日は仕事でしょ…?」

「今日は夕陽と一緒でお休みにしちゃおうっかな」

「そ、それはだめだよ!!オーナーなんだから!!」

「オーナーだからだよ。
こういう時時間の自由がきくって言うのが経営者の特権ってね!
それに俺、新店の立ち上げの為に土日も休まずにほぼ仕事だぜ~?
ちょうどどっかで休みとろうと思ってたんだ!だからちょうど良かったよ!」

「じゃあ余計忙しい時期じゃん!!!
あ~…分かってたのに…あたしって本当にダメな人間だよね…」

「だいじょうぶだよ。店は任せられる人間もいるし
たまには俺のわがままにも付き合ってよ。
夕陽、お店休むだろ?」

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