【完】さつきあめ〜2nd〜
重荷にならないように言葉を選んでくれる。
それでいいんだって思わせてくれる。
この人の隣で笑っていられたらどれだけ幸せだったのだろう。

「じゃあお言葉に甘えて送っててもらっちゃおうかな…」

「もちろん。帰りも迎えに行くよ。
帰る場所は俺の家でも、夕陽のマンションでもどちらでも構わないから」

「光は優しすぎるんだよ…」

「もうこの優しさは夕陽にしか使わないって決めたから」

「ずるいんだよ…光の言葉は」

「俺はお前と一緒に居られるならずるくも何にでもなろうと思うよ」

抱きすくめられた体に柔らかな熱が灯る。
朝日からの、連絡はない。
けれど投げ捨てたのは誰でもない、自分自身だった。



「今日は沢山飲みましょうね~!!」

「もぉ~さくらちゃん飲みすぎだよ!
でも今日はいつもより元気だね!もう1本シャンパン開けちゃおか!!」

「え~~!!いいんですかぁ~!嬉しい~!」

どこにも行き場の失くした感情をお酒で逃げていたあの日々たち。

「さくらさん、お願いします」

「は~い!!」

「え~!!さくらちゃん行っちゃうの~?」

「あはは~すぐに戻ってきますから!!」

「早く戻ってきてね~!」

「はーい!!」

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