【完】さつきあめ〜2nd〜

団体で来ていた指名客をすり抜けて
今、自分の指名が何名被っているか頭の中で計算する。そして、ふっと我にかえった。お店に来る前の事を考えて、急に酔いが覚める時がある。
もう朝日の為とか、指名に拘ったり、ナンバー1を目指す事なんかないじゃない。
光はお店なんて辞めていいって言った。
わたしはもう、朝日を憎んでもいない。復讐なんてしなくていいし、かといって、朝日の為に朝日の夢を叶える必要なんてない。
それなのに、ここに立つ意味なんて……。

「さくらさん?」

「あ、ごめんなさい。ぼーっとしてました。
次どこでしたっけ?」

沢村が少しだけ心配そうに眉をひそめてこちらを見つめる。

「VIPルームに三浦さんがいらっしゃってますよ!」

「三浦さんが?」

「えぇ、三浦さんはずっと七色グループを利用して下さってる大切なお客さんですが
最近はずっと双葉に通い続けてくれてますね」

…三浦さん。
小笠原も言っていた。
メディア関係の有名な社長さんだ。
ONEではゆりを指名していて、けれど最近は本人も言う通りずっと双葉に通ってくれている。

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