【完】さつきあめ〜2nd〜
光からは、何件かの着信と、長いラインのメッセージが送られていた。
そこには謝罪と、わたしへの想いと、光の想いが書かれていて、締め付けられるような想いにかられた。
何度も文章を打っては決して、結局光へは何も返せていなかった。

2ヵ月の間。
失った普通だったあの頃を取り戻すことに必死になっていた。
病院に行ったら明らかに痩せすぎな体を見て入院を勧められて、けれどそれを拒否して、その代わりに心療内科に通う事を義務付けられた。

安定しなかった精神。
眠れなくて、食べれなくなっていたわたしに安定剤と睡眠導入剤が処方されて、お医者さんとのカウンセリングも何度もした。
薬の力もあってか体重は徐々に戻っていって、まだ眠れない夜もあるけれど、やっと人並みの生活に戻れたのが2月の終わりだった。

そして久しぶりに人と会う事が出来た。

涼と2人カフェに入って、今までに会った事を全て涼に話した。
涼はわたしを責めはしなかったし、黙ってわたしの言葉に耳を傾けてくれた。

「お前痩せすぎな」

「これでも戻った方なんだよ」

「それでも痩せすぎ。
元々太ってる方じゃねぇのに…。
本当に心配してたんだからな」

「ほんとにごめん…」

「美優には会ってねぇのか?」

「美優ちゃんには…まだ…。会ってもきっと美優ちゃんの事だからすっごく心配しちゃうと思うし…
それに美優ちゃんは4月から新しい生活が始まるから…あたしのごたごたで悩ませたくない…」

「美優は本当に心配してた。
さくら大丈夫かなっていつもいつもお前の事ばかり言ってた。
大体美優はお前を助けるためにTHREEで働いてたりしたんだろ?その美優に対してあんまりだ」

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