【完】さつきあめ〜2nd〜
なんて、全部言い訳だ。
本音を言えば綾乃や涼に顔が合わせづらかった。
綾乃と涼はわたしと朝日の事を喜んでくれた。だからいまごちゃごちゃしてる事も
…光と一緒にいる事も…
朝日とだめだからって中途半端に光と関係を続けている。…ふたりに軽蔑をされたくなかった。
黙りこむわたしを見つめる涼の瞳は出会った頃からいつだって真っ直ぐで
コートのポケットに両手をいれて、空を仰いで大きく息を吐く。
けれどもこういう時、決まって涼が優しい顔をするのを知っていた。
「俺、年明けにはトリガー辞めちまうっていうのにひでーな!」
「あ!そうだよね!涼は夜上がるんだっけ。
すっかり忘れてた」
「いや、マジでお前ひでーわ」
「あはは、ごめんごめん。
本当に顔出すよ。
ねぇ涼が辞めるって事は綾乃ちゃんも夜上がっちゃうんでしょ?」
「まぁ、いつかは?
別にそれはそれであの人の人生だから俺が無理やりどーこー言う事でもないでしょ?
俺は綾がどんな仕事してようがしてなかろうが一緒にいるのに変わりはないわけだし」
さらりと言ってのける。
綾乃と涼の関係が羨ましかった。
どんな風に生きようと、どんな仕事をしてようと、好きな人をありのまま受け入れる。どうしてわたしにはそれが出来なかったんだろう。
朝日が美月お子供に責任を持つ。それでもわたしと一緒にいたいと言ってくれた。どうして大切な人の大切にしたい物を許せないんだろう。