【完】さつきあめ〜2nd〜

「せっかく会ったしどっかで話すか？」

「涼、待って」

「何？」

「あたし……朝日とはダメになってしまったよ」

そう告げたら、涼は何も驚きはしなかった。
いつも通り「そっか…」と呟くだけだった。

出会った頃から、涼には嘘をつく事が出来なくてすぐに弱音を吐いてしまう。涼はいつだって厳しくて、でも正しい事を言ってくれるような人だったから。

「それでいま光と一緒にいる。
あたしの事、軽蔑するでしょ？」

「別に……。
いいんじゃねぇか？
光つーやつの事は好きで好きで仕方がなかった時期だってあるわけだし
それで戻ったりするのだって別に不思議じゃねぇし、おっさんとはおっさんで縁がなかっただけだろ。
俺はさくらが誰と付き合おうと軽蔑なんかしたりしねぇよ。それは綾だってそうだろ？」

「でも……」

「俺はお前が誰と付き合おうが、それ以前にお前とは友達でお前のが大切だから
お前が幸せなら構わない」

きっぱりと言い切ってしまう涼の優し気な瞳に、どうして泣きそうな気持でいっぱいになるんだろう。

「けど、何でそんな浮かない顔をしてるの？」

「え？」

「お前がお前の選んだ道を一生懸命生きてるなら俺は別に相手が誰だろうが構わねぇんだ。

けど、お前、いま本当に笑えている？」