【完】さつきあめ〜2nd〜
「そうですね。今日は清水さんと同伴の予定なんですけど…どうしたんですか?」
「うん。ちょっとね、ONEの方がごたごたしてて
同伴入ってなかったらヘルプで出勤してほしいとの事だったんだけど。早い時間から団体さんが入るらしくて…ONEの店長に頼まれたんだけど」
「あたしがONEに?!」
内心驚いた。
たまにこういう事がある。同じ系列同士で応援い行きあって
けれどONEに行くなんて想像もつかなかったし、行ってほしいとも今まで1度だって言われた事はなかった。
わたしは1日に数組の指名客を呼ぶ。そういう女の子は応援には呼ばれない。
それでも声を掛けられるという事は
「そんなに女の子少ないんですか?」
「うん…まぁね、ちょっと大変みたいで」
ONEは常に沢山のキャストを抱えている。
だからあまり他店のキャストを応援で行かせたりはしない。
そして、いつにない由真の不安そうな表情。
「何かあったんですか…?」
「さくらちゃん、宮沢さんから何か聞いてない?」
由真の口から、朝日の名前が出るのは意外だった。
わたしたちの間に何かがあった事、沢村や由真は何となく気づいている気がしたからだ。
それに美月が辞めた理由も由真たちはきっと知っている。
「いや……あたしは…何も……」