【完】さつきあめ〜2nd〜
息を切らして、こちらを睨むように見つめる。
わたしとゆりを交互に見て、また落胆の表情を浮かべる。
疲れ切った朝日がそこには立っていた。
何となく予感はしていたけれど、ゆりが電話を掛けた相手は朝日だった。

「そんなところで立ち止まってないで座ったら?」

ゆりがそう言うと、朝日はわたしの隣の椅子に腰を掛けた。
そしてこちらへ問いかけた。

「何してんだ、お前……」

「そこに座ってるお嬢さんがわたしに七色グループに戻れって土下座までするもんだから、朝日を呼んだんだけど」

「なっ!!!
お前何やってんだ!!」

明らかに怒ってる口調でこちらへ詰め寄る。

「俺がお前にそんな事をしろって頼んだか?!
勝手な事ばかりしてんじゃねぇ!!」

「朝日……ごめん。だってあたしに出来る事…それくらいしか思い浮かばなかった…」

「お前にそんな事をさせて俺が喜ぶとでも思ったかよ!七色の事はお前には関係ない!勝手な事をするな!!」

「だって…!!!このままじゃ七色は無くなっちゃうじゃない!!」

バンっとテーブルを叩く音が店内に響いて
ゆりがわたしと朝日を睨みつける。


「喧嘩なら、あたしのいないところでやってね?」

「あぁ…ゆりすまない…。
こいつが勝手な事をして、忙しいのに呼び出したんだろ?…ごめん。
帰っていいよ。こいつには俺からちゃんと言い聞かせておくから……」

ゆりへ頭を下げて謝る朝日に、やっぱりゆりは何故か納得のいかないと言った表情を浮かべていて。

< 462 / 826 >

この作品をシェア

pagetop