【完】さつきあめ〜2nd〜
「朝日が謝る事じゃないわよ。
その子が勝手に、朝日の事を想ってやった事でしょ?」
「いや、でもごめん……。お前はもう七色には何も関係ないってのに…」
「さくらちゃん……」
朝日の言葉を無視するように、ゆりはわたしの名前を呼んだ。
「え……」
「あなたに、チャンスをあげる」
「チャンス?」
頬杖をつきながら、顔を覗き込むゆりは妖艶に微笑んだ。
「確かにこんな裏切り、フェアじゃなかったわね。
ONEに戻ってあげる」
「え?!」
思いもしなかったゆりの言葉に顔を上げる。
「ただし、EDENで迎えるはずだった、12月半期。
あたしのバースデー期間だけ……」
「それってどういう……」
「有明さんには無理を言ってしまうけど
その期間だけ、さくらちゃん、あなたもONEで働きなさい」
わたしが、ONEに?
そこまで言われてもゆりの考えている事が何ひとつ分からなかった。
「あなたの想いに免じてチャンスをあげるって言ってるのよ。
受けるか、逃げるかは、あなた次第だけどね。
12月半期。ONEであたしと売り上げで対決してみろって言ってるのよ」
「え?!」
「ゆり!!!何言ってんだ!!」
「朝日は黙ってて!!
あたしはさくらちゃんに言ってるの!!」