【完】さつきあめ〜2nd〜
「勝負をするのは朝日じゃない。別に無理やりなんてあたしは言ってない。
それほど頼むなら、チャンスをやるって言ってるの。乗るかはあなた次第」
朝日がわたしの肩を掴む。振り向くと、まるで泣きそうな顔をして首を横に何度も振った。
ねぇ、あたしはいつも弱かったよね。
そうやって差し伸べてくれる手をいつだって掴んで、守られてきたの。
でも、あたしは負けにいくわけじゃないんだよ。
目の前に差し込む光りが掴みとれないほど遠くにあったとしても、手を伸ばさない限り負けは決まっているのだ。
強くなろうとしたの。この手の中で、何かを守れるくらい。
わたしはゆりへと向き直って、真っ直ぐと瞳を見つめた。
こんなに近くにいるのに、どこまでも遠く感じる人へと目をきちんと向けて。
「ゆりさん、あたしやります…」
口角を上げて、ゆりはにやりと笑った。
「へぇ、わざわざ負けに来る道を選ぶのね……。
分かってる?負けたら有明さんの新店で働くのよ」
「光のお店では働かない…。」
「それってあたしに勝てる自信があるって言うの?」
「絶対に負けない…」
「ふぅん、あっそう。バカだとは思ったけど、そこまでバカだとは思ってなかった。
じゃあ、あたし行くから!
朝日、さくらちゃんに免じて12月はあなたのお店で働いてあげる。
あたしについてきたキャストも12月はヘルプに着いてもらうために呼び戻すわ。店長は無理かもしれないけどね。
だからバースデーイベント派手に打っておいてね。12月いっぱいはあなたの売り上げになるって言うんだから!」
そう言って、コートを手に持ってゆりは立ち上がった。
それほど頼むなら、チャンスをやるって言ってるの。乗るかはあなた次第」
朝日がわたしの肩を掴む。振り向くと、まるで泣きそうな顔をして首を横に何度も振った。
ねぇ、あたしはいつも弱かったよね。
そうやって差し伸べてくれる手をいつだって掴んで、守られてきたの。
でも、あたしは負けにいくわけじゃないんだよ。
目の前に差し込む光りが掴みとれないほど遠くにあったとしても、手を伸ばさない限り負けは決まっているのだ。
強くなろうとしたの。この手の中で、何かを守れるくらい。
わたしはゆりへと向き直って、真っ直ぐと瞳を見つめた。
こんなに近くにいるのに、どこまでも遠く感じる人へと目をきちんと向けて。
「ゆりさん、あたしやります…」
口角を上げて、ゆりはにやりと笑った。
「へぇ、わざわざ負けに来る道を選ぶのね……。
分かってる?負けたら有明さんの新店で働くのよ」
「光のお店では働かない…。」
「それってあたしに勝てる自信があるって言うの?」
「絶対に負けない…」
「ふぅん、あっそう。バカだとは思ったけど、そこまでバカだとは思ってなかった。
じゃあ、あたし行くから!
朝日、さくらちゃんに免じて12月はあなたのお店で働いてあげる。
あたしについてきたキャストも12月はヘルプに着いてもらうために呼び戻すわ。店長は無理かもしれないけどね。
だからバースデーイベント派手に打っておいてね。12月いっぱいはあなたの売り上げになるって言うんだから!」
そう言って、コートを手に持ってゆりは立ち上がった。