【完】さつきあめ〜2nd〜

「俺の好きはそういう好きじゃなくって!」

「う~ん…分かるけどさぁ~…。
光はあたしじゃなくても光の事大好きな女の子たちが沢山いると思うし~…」

「そういうんじゃなくて!俺は真剣にさくらが好きだから…真面目に付き合いたいと思ってんの!!」

「え~…マジで~?」

そんな感じで半ば強引に付き合う事になったわけだから、さくらの気持ちが俺にあったというわけではないのだと思う。
さくらの俺を好きという気持ちはどっちかっていうと友達として、みたいな感じだったし、誰にでも優しい奴だったから、強引な俺の告白をさくらは断れなかったんじゃないかなって思った。

それでもさくらと付き合えた事に満足していた。
実際付き合いだしてから俺たちは上手くいっていたように思えたし、さくらとずっと一緒にいれてただただ幸せだった。
それと同時に俺がなりたかったのはこういう人間だと改めて知ることになった。

けれど俺は知っていたのだ。

俺がさくらを見ていたように、兄貴もさくらを見ていた事を。
何故出会ってしまったのだろう。何故それが兄貴だったのか。
そして、人は何故過ちに気づくのがこんなにも遅すぎるのかも。

小さい頃から、兄貴が欲しい物ならなんでも与えたいと思って生きてきた。
恵まれなかった、俺の中の光り。けれど、本当に恵まれていなかったのは、誰か

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