【完】さつきあめ〜2nd〜
「なぁーに言ってんのかわかんねぇなぁ」
わざと惚けた振りをして笑いかけると、由真は呆れた顔をして店の入り口を指さして「小笠原さんよ」と言い残してバックルームへ去って行ってしまった。
小笠原は昔からこの界隈では有名な社長さんで、ONEでは1番のお得意様で、ずっとさくらを指名していた。
昔から人柄の良い人で、ヘルプに着くのが大嫌いな由真も進んで小笠原のヘルプに着きたがった。
「さくらが水商売あがったら、あたしの客にすんのよ」と笑いながら言っていたけれど、彼女にとっても小笠原の席はお気に入りのようだった。
さくらがいなくなったのちに、小笠原は由真を指名するようになった。
「小笠原さん、いらっしゃいませ!」
「おぉ、有明くん!何か久しぶりな気がするな。空いてる?」
「全然空いてますよ~!平日の中日ですからお店あ暇で困ってたところです!
VIPルームでよろしいですか~?」
「あぁ、さくらさんをお願いします」
上品で、社長だというのに偉ぶったところもない。
飲みなれていて、どこかに余裕がある。お店にとっても特別で大切なお客さんだった。
そんな良いお客さんだって、さくらはもちろん特別扱いはしない。
小笠原は俺の事も気に入ってくれて、たまに席に呼んでくれた。
さくらがいくら指名被りしてようが、文句のひとつもない。
そんな小笠原が一度だけ酔っぱらって言っていた事がある。その言葉がいまも心に残っている。
わざと惚けた振りをして笑いかけると、由真は呆れた顔をして店の入り口を指さして「小笠原さんよ」と言い残してバックルームへ去って行ってしまった。
小笠原は昔からこの界隈では有名な社長さんで、ONEでは1番のお得意様で、ずっとさくらを指名していた。
昔から人柄の良い人で、ヘルプに着くのが大嫌いな由真も進んで小笠原のヘルプに着きたがった。
「さくらが水商売あがったら、あたしの客にすんのよ」と笑いながら言っていたけれど、彼女にとっても小笠原の席はお気に入りのようだった。
さくらがいなくなったのちに、小笠原は由真を指名するようになった。
「小笠原さん、いらっしゃいませ!」
「おぉ、有明くん!何か久しぶりな気がするな。空いてる?」
「全然空いてますよ~!平日の中日ですからお店あ暇で困ってたところです!
VIPルームでよろしいですか~?」
「あぁ、さくらさんをお願いします」
上品で、社長だというのに偉ぶったところもない。
飲みなれていて、どこかに余裕がある。お店にとっても特別で大切なお客さんだった。
そんな良いお客さんだって、さくらはもちろん特別扱いはしない。
小笠原は俺の事も気に入ってくれて、たまに席に呼んでくれた。
さくらがいくら指名被りしてようが、文句のひとつもない。
そんな小笠原が一度だけ酔っぱらって言っていた事がある。その言葉がいまも心に残っている。