【完】さつきあめ〜2nd〜
「光……あたし光とはもう付き合えない」
「はぁ?何言ってんの~?」
馬鹿みたいにふざけて冗談を言えばまだ繋ぎとめていけると思っていた。
悲しそうなさくらの表情。ずっと笑ってばかりいたさくらが、初めて見せた表情。
俺は、さくらの胸の中に秘めた想いをずっと知っていたような気がする。だからこんな未来が来ない事を願っていた。
「ごめん……」
「何?俺の事嫌になった?」
「違うの、光の事は好きなんだ…でも光とはもう付き合えない…」
「好きだけど付き合えないことの意味が分かんないんだけど?」
「ごめんね…本当にごめん…」
「ごめんって謝ってるだけじゃ……意味わかんねぇよ」
「光が嫌いになったわけじゃないの、ほんと…。
ただ………」
こんな未来が来ない事だけを願っていた。
けれど心のどこかで、いつかこんな未来が来る事も知っていた。
どうすれば繋ぎとめておけるのか。どうしたって繋ぎとめておけない事も知っていた。
「あたし………朝日が好き……」