【完】さつきあめ〜2nd〜
「光……困るよ」
「それでも俺はさくらが好きだから」
「困る…本当に困るの。
こうやって会ってる事を知ったら朝日は怒ると思うし…」
「何?お前、兄貴に脅されてんの?」
「朝日はそんな事をする人じゃない…」
「じゃあ、てめぇはただの尻軽か?
俺と付き合ってたのに次は兄貴ってマジで人としてどうかと思うよ。
男だったら誰でもいいのかよ!そりゃあ兄貴と俺なら兄貴の方がいいよな?
金も持ってるし!」
「光違う!そういう事で朝日を好きになったわけじゃない!」
知っていたんだ。
さくらが、兄貴が金や地位を持ってるから好きになったわけじゃないって。
本当は知ってた。
さくらが兄貴を見続けた事。その想いに気づく前に強引に俺が付き合ってくれと言った事も
いつも笑ってばかりだった彼女が、誰の前で感情が1番動くのかさえ。自分でも気づかないうちに相手に振り回されているということ。さくらさえもそれが恋という感情だと気づいていなかった。
「何も違うもんか!
俺と兄貴の違いなんか金やあの人がオーナーだって事だけだろ!
お前は結局そんな女だったって事だよ!」
「違うの……好きなの…
許して…光…ごめんなさい…」