【完】さつきあめ〜2nd〜
’光は、光はかっこいいもん!!’
’あたし、光の事が好きなの…だからシーズンズでも1番になりたかった…’
’あたし光が好きなんだよ…
諦める方法なんてわかんないんだから’
あの気持ちを、あの日、受け入れられていたのなら、いまとは違う未来が俺たちを待っていたのかな?
いつしか、君が思っているよりずっと君は俺の中で大きな存在になっていった。
それでもこの世界で生きていく事を決めた俺には、野心があった。
俺は、兄貴よりも優秀な人間で在り続けなければいけない。呪いのような母親の言葉が脳裏を回る。
この世界で上に上がっていくには、女を利用しなくてはいけなかった。…俺はとっくに兄貴より商売の才能がないのに気づいていたから。
きっと誰も知らない。
誰も気づきはしなかっただろう。それは兄貴でさえも
いつか夕陽に言った言葉がある。
’夕陽は……いつかゆりを超えるだろうな’
シーズンズにいる時から何となく見抜いていた。
お前はきっと、未来の俺の仕事の上でキーパーソンになる女だと。
だからこそ、俺はもう君を利用出来ないと同時に思った。君を好きな気持ちが大きくなればなるほど、俺は君の前では普通の男でいたかった。
そう。兄貴のように。
けれど思えば思うほど、長年培ってきた性格っていうのは変えられないもので
俺は俺が自分自身で作って来た’有明光’という自分を捨てきれなかった。
他人が俺に望んだ有明光を
そこがさくらや夕陽が兄貴を選んだ理由で、俺と兄貴を分けた物だったのだろうか。
高い場所から見つめる、夜のネオンの光りが大嫌いだった。
灯っては消えるそのネオンを見つめると、自分はどこまでもひとりぼっちだと孤独を感じるからだ。
光りが大きければ大きいほど、闇もまた深く堕ちていく。
闇が深い世界だからこそ、光りを求めてしまうのだろう。