【完】さつきあめ〜2nd〜
「ゆっくりお話しするのは初めてね!」
「あの……雪菜さん。洋服ありがとうございました。
…あと、靴も!洋服はクリーニングに出して返しますね!!」
「いいよ、んなの。
店クリーニングのところにでも置いておいてよ。
それよりこれ、さくらちゃんのでしょ?」
そう言って、わたしのロッカーの中にいれておいたはずの何着かのワンピースを差し出す。
「あ!!」
「何か、ごめんね。でもゆりがやった事じゃないから。
ゆりはあんな奴だけどこういう卑怯な事はしない奴だから。ゆりの周りの奴だね~…」
「雪菜さん…わざわざ探してくれたんですか?ありがとうございます……」
「探したっていうか、ごみ箱から出てきた。
陰湿だねぇ~!!」
くッくッと笑いながら、楽しそうに言う。ますますこの人の事が分からなくなりそうだ。
「雪菜さん…指名の事も…どうしてですか?!
あたしが本指名で雪菜さんが場内じゃあ……来期のポイント数が変わってしまいます!
そしたら損をするのは雪菜さんです!」
その言葉に、雪菜は目を丸くして、そしてすぐににんまりと笑った。
「へぇ、やっぱりゆりに勝つ気があるみたいね」
「へ?」