【完】さつきあめ〜2nd〜
雪菜はてきぱきと高橋に指示を出していく。
さすがナンバー2。キャバ嬢というよりは経営者向きなんじゃないかってくらい、周りや自分のお客さんの事を把握している。

「雪菜さん……すごいですね……」

「えぇ?!何が?!」

「キャバ嬢っていうより、ママっぽい…」

「あらー、自分指名でも他の子で喜んでくれるならそっちの方が仕事しやすいじゃない!!
ゆりみたいな子は人に任せらんないから、あえて指名を余り呼ばないのよ。まぁゆりは1人に多く使わせるタイプだからね。
だからゆりを独占したいお客さんが多いの。ほんっと、お客さんって嬢の鏡でもあるわね。

それにしたって、さくらちゃんだってどっちかっていうとあたしタイプのキャバ嬢だと思うけど?」

「あたしが?」

「えぇ、双葉の由真さんとかからも話聞いてるけどね。
さくらちゃんは昨日見た限りでもヘルプの女の子たちにひとりひとりお礼いったり、義理がたいタイプだから周りに助けてもらえるのね。
それってキャバ嬢としてすごい才能だと思うけど?」

そんな事、思ってもみなかった…。
見た感じは、キャバ嬢っぽくはない。
どちらかというと可愛いお嬢さんタイプで、ふわりと喋るかと思えば、しゃきしゃき仕事をこなしていく。
たった1日で、彼女はわたしの憧れのキャバ嬢になっていた。

「へぇ~君がさくらちゃんかぁ~!雪菜の言う通り僕のタイプだ!」

VIPに行くと元木が何本かのボトルを空けて待っていた。
と、その前に初めて足を踏み入れるONEのVIPルームに驚いていた。

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