【完】さつきあめ〜2nd〜
「雪菜さん、おはようございます!」
「おはよ!
明美氏~!お任せでお願い~」
「はいはい。サイド編み込んじゃっていい?」
「おっけぇおっけぇ!!
あ!さくら!さっき宮沢さんに会ったよ!多分いまONEにいるんじゃないかな?
めちゃくちゃ疲れてた。でも何かやる気あっていつもの宮沢さんって感じだったよ!」
朝日……。
その名前を聞いて、すぐに会いたいと思った。
ほんのちょっとでもいいんだ。顔が見たいって…。けれどそれと同時に合わせる顔もないと思う自分がどこかにいて
その気持ちをまるでもくみ取ってるかのように雪菜が言った。
「会いに行ってみたら?
さくらちゃんが頑張ってるって知ってるから、すごく喜んでるんじゃないかな?」
「でも………」
「同伴までまだ少し時間あるでしょ~?
おはよぉって軽い感じで会ったっていいでしょ~!一緒のお店で働いてるんだから!」
その雪菜の言葉で少し勇気が出た気がする。
静かに更衣室を出て、朝日がいるであろうキャッシャーまでゆっくりと歩いていく。
’普通に普通に’心の中で何度も呪文のように繰り返し、それとは対称的に心臓は爆発しそうなくらいの鼓動の数を刻んでいる。