【完】さつきあめ〜2nd〜
こんな冗談を言い合えるような空気になって、付き合ってる頃のようで嬉しい。
けれど、朝日は眩しそうに目を細めた。
「細い女が好きだったけど、お前ならどんなデブになっても好きなような気がする」
「えぇ!?20キロ太っても?!」
「あぁ……お前はどんなに上辺を装わなくても、綺麗だ……」
「や、やだなぁ!綺麗だなんて真剣に言われたら照れるよ!」
朝日はONEで働く、と言った時よりずっと優しかった。
けれどどんなに昔のように会話が出来たって、朝日が優しくなったって
もう昔のようには戻れない事も知っていた。それを思ったら泣きそうになったけど、ぐっと堪えて朝日へ笑顔を向ける。
「俺は少し思い違いをしてたようだな」
「え?」
「さくらは大きな舞台に上がれば上がるほど輝く人間だよ。
俺なんかのテリトリー内にいるよりも、今のお前はずっと綺麗だ」
「もぉ……だから綺麗だなんて言葉軽々しく使わないでよ!!
さーて、あたしこれから同伴だから!!」
泣きそうになるのを堪えて、くるりと朝日へ背を向けた。
「もう…頑張るななんて言わない…
信じるよ……」