【完】さつきあめ〜2nd〜
’信じる’
初めてそう言われて、好きだと言われたあの日より嬉しかった事に気づいたんだ。
その言葉に再び涙が零れ落ちそうになるけれど、まだこの涙は流したくない。
わたしはこの信頼を形にするまでは、絶対に泣けないのだ。
朝日に背を向けたまま、静かに尋ねる。
朝日はきっと優しく微笑んでる。
「朝日……」
「ん?」
「美月ちゃんは、元気…?」
「あぁ……美月は元気だ。腹ん中の子供もな」
「あの時は…美月ちゃんを大切に想う朝日を否定して…ごめんね…」
「いいんだ、もう…」
今なら、言える。
心から願える。
けれど、あんな悲しい事件が起こってしまうなんて、想像もしていなかった。