【完】さつきあめ〜2nd〜

「そぉ??あんまり使わせすぎると、息も短いかもよ?」

ゆりは雪菜を睨みつける。
けれどそれに少しも動じずに「こわー!!」と笑いながら言った。

「あんたらみたいな仲良しごっこも寒いって言ってんの。
協力だとか、仲良しなんて………本当に下らない…。
あたしはあたしの力で、自分の欲しい物は手に入れる!」

そう強く言い放って、隣の更衣室へ続く扉を開けた。

「下らない言い合いしてんじゃないわよ!!」

ゆりの怒鳴る声が聞こえた。

「誰もあんたらみたいなカスに協力してもらおうなんて思っちゃいないわよ!
あんたたちの微々たる売り上げなんてあたしに何の貢献もしちゃいないわよ!
ついてきたくない奴ならついてこなくて結構よ!!」

ゆりの言葉に、空間がシンと静まり返るのが分かる。
少しずつ不穏な空気が流れていったのは何となく感じた。
ゆりがどれだけ権力を持っていたとしてもここはキャバクラだ。彼女を快く思わない人だっているのだ。
ゆりはやっぱり強すぎた。それは何でもひとりで抱え込んでしまうほどに。

ずっと余裕なんだと思っていた。それでも違う。
追いかける側と追われる側なら、そこに伴う負担も全然違った。
それでもゆりは自分のプライドの為にひとりで立ち上がる事を選び続けた女だ。
本当は余裕だった夜なんてひとつもなかったのかもしれない。

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