【完】さつきあめ〜2nd〜
ゆりの言葉に静まり返った更衣室から人が出ていく気配を感じる。
「ああいう言い方しか出来ない人だから……」
雪菜はぽつりと呟いた。
「…驚いた。ゆりさんってもっと自信がある人なのかと思ってた」
「それを言うなら全然逆ね。
ゆりは人一倍自信がない子なんだと思うよ。それなのにずっと誰にも頼らずに生きてきたような人だから……
ゆりにとってここでナンバー1で在り続ける事はやっぱりプライドなのね。
そう考えたらさくらちゃんとゆりは正反対の人間みたい……」
「そりゃー…あたしにはゆりさんみたいな強さはないから…」
「いえいえ、全然強い子だと思うけど?」
「あたしが?!」
「自分の弱さを認められるのも強さのひとつ。
それにさくらちゃんは素直で捻くれたところがないから。
人に頼って、人に助けられるってこの世界じゃ大事な事よ。誰だって自分ひとりじゃ出来る事なんてたかがしれてるんだから」
「でも…あたしは守られている事は嫌なんです…。
いままで沢山の人から守られてきた。だから今度は誰かを守れるくらい強くなりたい」