【完】さつきあめ〜2nd〜
「あの頃…光があたしを頼ってくれたら…」
「あの人は宮沢さんと違って自分の感情のままに生きれるタイプじゃないからな。
お前を仕事上の人間で見る事が出来なくなった時迷いが産まれたんだろうな」
光が頼ってくれたなら
わたしは迷わずに光の元に行っただろう。
そして朝日の事なんて何も知らずに、光を好きなままでいれたのだろうか。
そうしたらまた違う未来が誰の手の中にもあったのだろか。
「あ、また迷ってる」
「え?」
わたしの考えを見透かしたように、深海はその日初めて笑った。
「未来は変わらなかったと思うよ。
きっと、どんな出会い方をしていたとしても、さくらは宮沢さんを好きになったさ」
「えぇー…そうかなぁ…」
「そういうところは昔のさくらにそっくりだな。やっぱり……。
なんていうかふわふわしてるんだけど、実は芯があるよ。お前には」
「似てる?かな……」
「似ていると思ってた……」
深海の真剣な眼差しが向けられる。
「でも、お前は強い。
きっと俺が思ってるより、お前はずっと強くなった…。
俺はお前がさくらであることを誇りに思う」
「深海さん……」
目尻を下げて、優しい瞳になって微笑んだ深海はわたしの肩を軽く叩く。